電気工事施工管理技士とは、電気工事に関する資格です。施工管理技士には7種の工事がありますが、電気工事施工管理技士はそのひとつです。
仕事内容や資格の取得方法、年収とキャリアアップ、活躍の場などを紹介します。資格取得を考えている人は、参考にしてみてください。

電気工事施工管理技士とは?

国土交通省では7種の工事種類に分けて施工管理技士を定めています。そのうちの1つ、電気工事施工管理技士について説明します。

電気工事の国家資格

電気工事施工管理技士とは、電気工事のプロフェッショナルとして認められた国家資格です。資格取得者は、建設工事現場において電気工事に関する施工計画の作成や、工程・安全・品質の管理などを行い、電気工事の監督を行います。

電気工事全般の統括ができるため、現場で実際の電気工事をする「電気工事士」と比較すると、難易度も高く需要も多くなります。
ただし、法律により電気工事施工管理技士の資格だけでは現場で工事をすることはできません。

1級と2級がある

電気工事施工管理技士の資格には1級と2級があります。
2級は現場ごとに置く必要がある主任技術者や、一般建設業の営業所ごとに置く必要がある専任技術者になれます。
1級になると、主任技術者や専任技術者はもちろん、「監理技術者」という資格への申請も可能です。

1級と2級で大きな違いはありませんが、最も異なるのは扱える電気工事現場の規模ということになります。
以下に、1級と2級の違いをまとめました。

 2級1級
現場ごとに置く主任技術者
一般建設業の営業所ごとに置く専任技術者
特定建設業の営業所ごとに置く専任技術者×
監理技術者の資格申請×

電気工事施工管理技士の仕事内容

電気工事の現場で、現場全体の管理を行うのが電気工事施工管理技士の役割です。管理する内容は「4大管理」と呼ばれるもので、以下のような内容となります。

①工程管理
納期までに工事が完成するよう、作業などのスケジュール管理を行う。

②品質管理
地方自治体によって定められて品質基準に沿ったもの、施工主などが求める品質に見合うものが作れるよう管理する。

③原価管理 
決められた予算内で工事が完了できるよう、資材発注や工期の延長、人の配置など、費用面での管理をする。

④安全管理
工事期間中に現場に携わる作業員や通行人などに事故がないよう、安全面の管理を行う。

ほかにも、工事の施工主や現場監督などと工事についての打合せや、役所などへの申請書類などの作成といったデスクワーク業務もあります。
電気工事の責任者として、現場全体を把握する必要たあるため、施工主や設計者、作業員、資材業者など、工事に関わる多方面の人との円滑なコミュニケーションも必要です。

また現場では不測の事態も起こるため、臨機応変に対応できるスキルも求められるでしょう。

電気工事施工管理技士の活躍の場は?

電気工事を取り扱う電気工事施工管理技士は、さまざまな建設現場で活躍できます。電気工事にも多種多様な項目があるので、主なものを紹介します。

  • 照明設備工事
  • 送電線工事
  • 発電設備工事
  • 変電設備工事
  • 鉄道電気設備工事
  • 構内電気設備工事
  • 非常用電源設備工事
  • 信号設備工事 など

電気工事施工管理技士の資格を活かせる職種としては、以下のようなものがあります。

  • 電気技術者
  • ビルメンテナンス
  • 保全・設備管理
  • 設計 など

電気工事施工管理技士の年収とキャリアアップ

施工管理職は、建築業の中でも比較的平均年収が高い職種です。電気工事施工管理技士の平均年収は556万円で、建設業全体の平均年収と比較しても高い傾向にあります。

給与幅が広く、年収1000万円も目指せる職種といえます。(参照元:求人ボックス )

建設業では常に人手不足が取り沙汰されており、特に現場の責任者であり電気工事のスペシャリストともいえる電気工事施工管理技士の有資格者は需要があります。

そのため転職先も豊富で、年収アップやキャリアアップも狙いやすいでしょう。資格を活かした具体的な転職先としては、大手ゼネコンや設備工事(プラントエンジニア)、再生可能エネルギー、設備管理(ファシリティマネジメント)などがあります。

電気工事施工管理技士の資格取得方法

電気工事施工管理技士の試験は、1級2級とも年に1度行われます。
電気工事施工管理技士の受験資格は、2024年度(令和6年度)より大きく変更になりました。以前にも受験要項を見たことがある人は、変わっているところがあるため、注意してください。

2級1級
第1次検定17歳以上(試験実施年度末時点)19歳以上(試験実施年度末時点)
第2次検定①2級1次検定合格後、実務経験3年以上
②1級1次検定合格後、実務経験1年以上
①②のいずれか
1級1次検定合格後
・実務経験5年以上
・特定実務経験1年以上を含む実務経験を3年以上
・監理技術者補佐の実務経験1年以上
 
2級2次検定合格後(1級1次合格者に限る)
・実務経験5年以上
・特定実務経験1年以上を含む実務経験を3年以上

出題範囲は、第1次検定で電気工学など、施工管理法、法規、第2次検定で施工管理法となっています。

合格ラインは1級2級とも、第1次検定で64問中36問以上の正解、第2次検定で正解率60%となります。

難易度としては、1級2級ともに1次検定40〜50%程度の合格率、2次検定は60%程度の合格率となっており、普通〜やや難しいといえます。実務経験が必要なため、受験者の多くは第一種電気工事士など、関連の有資格者です。実際に現場で働きながら資格取得を目指すのが現実的ですが、しっかりと対策をすれば十分に合格できる資格でしょう。

受験費用は以下の通りです。

【1級】

  • 第1次検定:15,800円
  • 第2次検定:15,800円
  • 受験申込書(願書)1部:600円(税込)

【2級】

  • 第1次・第2次検定:15,800円
  • 第1次検定のみ:7,900円
  • 第2次検定のみ:7,900円
  • 受験申込書(願書)1部:600円

電気工事施工管理技士のやりがいは?

電気工事施工管理技士のやりがいについて紹介します。

最初から最後まで現場に関われる

施工管理の職種は、自分が直接手を動かして電気工事をするわけではありません。しかし建物を建設する最初の段階から、電気が灯る瞬間まで、すべての工程に携わることができます。

どのような現場であっても、関わった現場が形となって残り、未来にずっとあり続ける喜びがあります。

横のつながりを大事にできる

電気工事施工管理技士は、現場全体の責任者。電気工事だけでなく、施工主や設計士、ほかの分野の業者など、現場に関連するさまざまな人とつながっています。

納期までに高い品質で工事を終わらせるためには、円滑な人間関係が必須ですが、仕事のためだけでなく横のつながりを大事にできると、人としての成長が感じられます。

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まとめ

電気工事を行ううえで欠かせないのが電気工事施工管理技士です。国家資格であり需要も多く、建設業界の中でも年収は高い傾向にあります。
年収アップやキャリアアップも十分に叶う資格ですので、資格取得を目指してみましょう。

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