新年度がスタートし、初々しい新入社員が入社する時期になりました。一方で、新しく新人教育担当に携わることになった方もいらっしゃることでしょう。
今回は、新入社員の教育やマインドセットはどのように行ったらよいのかポイントや教え方のコツを紹介します。
教える方にもスキルが必要なので、記事を参考にして新人教育に臨んでみてくださいね。



新入社員への接し方

大学を卒業し、初めて社会人となった新入社員。当然ながら仕事に対する知識もノウハウもありません。社会人としても未熟な彼らにどう接すればよいのでしょうか。

まずは人間関係の構築

新人に何かを教える前に、まずは人としての信頼関係を築くことが大切です。教育担当者に好感を持ち、同期入社の仲間を好きになり、仕事を覚えながら仕事や会社を好きになってもらうことが、結局は新人教育の早道になります。
教育担当者を好きになれないと、新人の頃から仕事や会社がイヤという気持ちになってしまいます。
厳しい指導はしても、人として尊敬できる、ついて行こうと思える関係性を築くことから始めましょう。そのためには、教育担当者が情熱と愛情を持つことが肝要です。

業務のみ指示せず、理由まで説明する

新入社員には基本的に仕事のやり方を教えることになるでしょう。そのとき、「○○をリストアップして」「○○の資料をまとめて」など、業務だけの指示をしていませんか?
その指示で新入社員は確かに業務はこなせるようになるでしょう。しかし、本質が理解できていないと、指示されなければ何もできない状態になってしまいます。
業務を教える、指示するときには、「なぜそうするのか」「どうしてそのような業務が必要なのか」をきちんと説明すると、理解度が深まり自分で考えて業務を行う力が付きます。

仕事の教え方のポイント

例えば、選手としてどんなに素晴らしい人物でも、必ずしも指導者として成功する訳ではありません。つまり教え方にもスキルやコツが必要なのです。教え方のポイントを紹介します。

新人教育の目的を明確にする

新入社員に何を教えるか、どのように教育するかは企業によってさまざま。しかし、中途入社の新人教育とは明らかに異なり、社会人としてのマインドセットやビジネススキルを最初から教育する必要があります。

新人に「自社社員として戦力になってもらいたい」「活躍してもらいたい」という目的はどの企業でも同様でしょうが、業界や業種、部署などによって違う「新人教育の目的」を明確にしておきましょう。
目的もなく「何となく」指導しても、ゴールにはたどり着けません。

教える側も見られている意識を持つ

経営の格言に“上司は部下を理解するのに3年かかるが、部下は上司を3日で見抜く”という言葉があります。人材教育をするということは、教育する自分も相手から見られているという意識を持つことが大切。
新入社員に「この人から学びたい」と思ってもらうことこそが、新人教育をより効果的に行うポイントと言えます。教育担当に抜擢されたということは、会社からそれに値する人材と見込まれたということですから、自信を持って取り組みましょう。

教え方のスキルを学ぶ

なかなか覚えてくれない新人にイライラしたり、座学で聞いていなさそうな新人を叱りたくなったり、教育する側にも悩みは付きものです。
仕事ができる人であっても、教えることが得意とは限りませんので、まずは教え方にもスキルがあることを意識しましょう。
教え方のスキルとは、以下のポイントに集約されます。

  • 人が覚えるためのステップ
  • 人が学ぶ方法
  • 人の集中力

この3点だけでも自分なりの方法論を持ち、それに沿ってプログラムを組んで実施すると格段に効率が上がります。
「なぜ覚えないのか」「なぜ聞いてくれないのか」という疑問も解消され、イライラすることも減っていきます。

基本の教え方

仕事を教える際、基本となるのは以下のステップを踏むことです。

理由付け・説明・理解

実演・経験

評価・フォロー

このステップを踏まえ、以下で各ステップを詳しく説明します。

理由付け・説明・理解

最初のステップは、これからやる業務が会社や社会の中でどのような位置にあり、どのような役割を果たしているかを説明し、理解させることです。
教育担当者が実際に体験した話などを織り交ぜると、よりわかりやすくリアルな話として理解されやすくなるでしょう。
失敗例、成功例なども交えるとこれから業務を行う新人も、よく頭に入ってきます。
ただし、一度に多くのことを教えると覚えきれなくなるため、どの程度先に進むかは相手の理解度を見ながら判断しましょう。

実演・経験

新入社員が業務内容を理解したら、教育担当者が実演してみせます。それを新入社員が実際にやってみることで、体感として覚えてもらいます。座学では理解したつもりでも、やってみなければわからないことに気づき、さらに理解を深めていきます。
ここで注意していのは、自分のペースで進めないこと。新入社員にもそれぞれのペースがあるので、時間の許す範囲で相手に合わせて行いましょう。最初からできないのは当たり前という大らかな気持ちで、失敗しても「なぜ失敗したか」「どうしたら改善できるか」を一緒に考えるようにすると、理解が深まりコミュニケーションもとりやすくなります。

評価・フォロー

一通り仕事をやってみたら、相手の仕事を評価します。評価する際には、まず良い点を褒めることです。先に良い評価をすることで、次のアドバイスをしてもモチベーションが下がらず、新入社員はしっかり受け止めてくれます。
評価の伝え方のポイントは、できる限り具体的に評価すること。例えば「○○をするとき、あなたは○○をしたよね。ここがすごく良かった。なぜなら○○だから」と、理由まで述べてあげると、相手は「よく見てくれてる」と嬉しくなり、やる気と自信もアップするのです。

間違った点、失敗したことはフォローします。ただ失敗を補ってあげるのではなく、なぜ失敗したのか、どうやったら改善できるのかを具体的に伝えながらフォローしましょう。最初はフォローの頻度が多くても、徐々に頻度が減っていけば、業務が身に付いていっている証拠です。

教育担当者が避けるべき行動

教育担当者がやるべきでない行動について紹介します。

業務だけ教えて全体像を伝えない

目の前の業務だけを教えて、その業務がどのプロジェクトのどこにどのように機能するのかという、全体像を教えないのはよくありません。自分が何をやっているのか、何のための業務なのかを理解することで、モチベーションの維持や効率アップのやり方を学べるので、必ず全体像も伝えるようにしましょう。

改善案を提示せず指摘だけする

失敗や間違いは誰にでもあるものです。新人教育においても、ダメ出しだけをして、なぜ間違ったのか、どうしたら間違わなくなるのかを示さなければ、新入社員はどうすれば良いか迷ってしまいます。
指摘する際には、原因を探し改善案を示してあげましょう。

自分の成功体験を信じすぎる

教育担当者が陥りがちなのが、自分の成功体験を相手に押しつける行為です。人はそれぞれに成長過程が異なります。自分はそれで成功しても、全員に当てはまるとは限りません。
「自分はこうやって成功した」とアドバイスすることは良いのですが、それを押しつけてしまうと、相手の成長を妨げる可能性もあります。必ずしも自分の成功体験だけが正解ではないことを心に留めておきましょう。

まとめ

教育担当者は、時代の会社を担う人材を育てる重要な役割を担っています。右も左もわからない新人教育は、大変な労力が必要ですが、人に教えることは、自分もより深く理解し実行できる能力が問われます。中には業務の傍ら、新人教育もしなければならない場合もありますが、自身の成長に必ず繋がるので、記事を参考にして教えるコツを掴んでくださいね!