今回は、アルバイトやパートでも有給休暇はもらえるのか?また、雇用保険や社会保険の加入はできるのか?ということについて解説していきます。

はじめに、アルバイトとパートの違いとは何でしょう?

世間では、バイトは学生や若い子が短期で働くもの、パートは主婦層が中心で長期勤務はするけれど、労働時間が短いものと認識されているようです。しかし、法律的にはどちらも「パートタイム労働者」として扱われ、区別されていないのです。

では、正社員とバイト・パートの違いは何でしょうか?

「パートタイム」と対義になった「フルタイム」が正社員の雇用形態です。1日の労働時間が違うというのは大きな違いでもありますが、雇用期間の違いも区別の対象です。

正社員は雇用期間が決まっていない「無期雇用」とされていることが多いのですが、バイト・パートでは期限が決められた「有期雇用」の場合が多くみられます。

また、大きく違うのは給与体系。バイト・パートは時給制であるのに対し、正社員は月給制です。月給制は毎月定額の給料が約束されているため、安定性があるということになります。

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バイト・パートのメリットとデメリット

たくさんのメモが貼られた壁を見る男性

2019年4月1日に『パートタイム・有期雇用労働法』によって、バイト・パートと正社員の待遇差が禁止されました。例えば、正社員と同等に働き、会社や社会に貢献しているのに、パートタイムだから有給や福利厚生はないといったことがないようにしているのです。

つまり、パートタイムでの働き方でも、正社員と同等レベルの待遇を受けられるようになったということですね。

そこで、パートタイムで働くことのメリットとデメリットを比較してみましょう。

パートタイム労働のメリット

パートタイムの勤務形態はシフト制が一般的です。つまり、それぞれのライフスタイルによって働きたい時間帯や曜日を決められるということ。自分の空いている時間を有効に使えるのが最大のメリットです。

正社員は一般的に就業時間が決められており、1日8時間程度拘束されますが、学校や家の用事などで長時間働けない人も、空いた時間で働くことができます。

短期雇用でもあるので、パートタイムでいろんな業種を経験できることも、将来へのメリットになります。

パートタイム労働のデメリット

意思疎通イメージ

パートタイム労働は時給制がほとんどなので、収入の安定性に欠ける部分があります。例えば、クレジットカードを作りたい、高額ローンを組みたいといった場合、社会的な信頼という意味では低くなり、審査に通らない場合もあります。

また、有期雇用になるため長期間働きたいと思っても、それが叶わないことも。責任ある仕事は正社員の方に任せる傾向にあるため、スキルアップしたい、キャリアアップしたいという人にはデメリットになります。

雇用保険や社会保険といった福利厚生の部分でも、パートタイム労働者は一定の条件を満たす必要があるので、後の項目で詳しく説明していきます。

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 バイト・パートの有給休暇は?

休暇

パートタイム労働でも、有給休暇はもらえます。ただし、ある一定の条件を満たす必要がありますが、それを満たせば雇用側はパートタイムでも有給を付与する義務があるのです。

その条件とは、以下の通りです。

①6ヶ月以上継続勤務している

②全労働日の80%以上勤務している

まずは6ヶ月以上働いていること、そしてその全部の労働日数のうち8割以上出勤していることが条件という訳です。半年以上務めていても、欠勤が多い場合は対象にならないので注意してください。

さて、有給休暇が何日もらえるかですが、勤務日数によって変化します。週5日働いている人の方が、週3日働いている人より多く有給休暇をもらえるということですね。

詳しくは、厚生労働省のHPをご覧ください。

正社員の場合、有給休暇とは給料が引かれずに休みが取れることになりますが、パートタイムの場合は少し違います。時給制なので「1日分の給料」がそれぞれ違うからです。

計算方法は3つあるので、それぞれに当てはまる方法で算出してみましょう。

①月によって勤務日数がバラバラな場合

1日の賃金=過去3ヶ月の給与合計÷勤務日数

②シフト制など固定の勤務日数の場合

通常通り勤務した際に支払われる1日の賃金

③健康保険に入っている場合

健康保険の標準報酬日額で計算

このうち、どの方法で計算するかは雇用側が決めますが、おかしいと思った場合はたずねてみましょう。

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パートタイムの雇用保険は?

デスク

アルバイト・パートで働くのだから、雇用保険は関係ないと思っていませんか?一定の条件を満たせば、“加入しなければならない”と定められているため、パートタイム労働でも雇用保険に加入することができます。

条件を満たしているのに、雇用保険に加入していない場合は雇用主へ相談してみましょう。

その条件とは、

  • 31日以上雇用の見込みがある
  • 週の契約労働時間が20時間以上

というものです。ただし、学生は雇用保険に加入できませんので注意してください。

さて、雇用保険は加入した方がいいのか?という問題ですが、働く人にかなり有利になるため、パートタイムでも条件を満たすように働いて雇用保険に加入することをおすすめします。

雇用保険のメリットは、まず失業手当(失業保険)が出ること。他にも「教育訓練給付金」「育児休業給付金」「介護休業給付金」といった給付が受けられるため、可能であれば加入しましょう。

加入すると、毎月の賃金から保険料が天引きされます。詳しい保険料率についてはこちらの情報をご覧ください。

これによると、一般事業の場合は負担額が3/1000となっているため、給料の0.3%が雇用保険料です。給料が10万円だとしても300円なので、パートタイム労働の場合、そんなに高額になる心配はないといえるでしょう。

バイト・パートの社会保険加入は?

チェックイメージ

2016年10月に、社会保険に加入できる対象者の範囲が広がりました。パートタイムで働く人でも、働く時間や収入によっては社会保険に加入することになります。

社会保険への加入は、その人の立場によってメリットもデメリットもあるため、よく考慮して働き方も検討してみましょう。

社会保険とは、一定の条件を満たす国民は加入して保険料を負担するのが義務とされています。保険料は雇用主と加入者との両方で負担しますが、パートタイムで働く場合はどのようになるのでしょうか?

①勤務時間や日数が正社員の3/4以上

②週20時間以上勤務、年収106万円以上であればさらに5つの条件を満たすこと

  • 週の所定労働時間は20時間以上
  • 賃金月額8.8万円以上(年収106万円以上)
  • 1年以上の雇用が見込まれる
  • 勤務先が従業員501人以上
  • 学生ではない

社会保険のメリットは、厚生年金保険料と健康保険料を雇用者側と折半するため、保険料の自己負担額が減ることです。自営業の人などは国民健康保険、国民年金に加入しますが、こちらが全額自己負担になることを考えると、かなり負担が減りますね。

また、病院での支払い額が減る、将来受け取れる年金額が増える、保障制度が手厚いといったメリットがあるのです。パートタイムでも加入できるのなら、得もたくさんありますね。

ただし、配偶者の扶養に入っていた人の場合、社会保険加入にまつわる収入は「130万(雇用主によっては106万円)の壁」と言われるものがあります。夫の扶養から外れて自分で社会保険料を払うことになるので、手取額が大きく変わってしまうのです。

収入と保険料、保険に入った場合のメリットとデメリットをよく家族で話し合い、働く時間を検討してみましょう。

まとめ

アルバイト・パートで働く人にも、正社員と同じような有給や雇用保険・社会保険の制度があるのですね。有利に働けるよう、よく知っておくことが大切です。はたらくぞドットコムでは、パートタイムの求人もたくさんご紹介しております!

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