今回は、せっかく採用した人材が早期に退職してしまうことについて考えていきます。早期退職は新卒・中途採用に関わらず起きている問題です。採用にかかるコストを考えても、早々に辞められてしまっては困ったことが起きるのは明白ですね。なぜ早期退職が起こってしまうのか、考えてみましょう。

早期退職の“本当の”理由を知ろう

早期退職を予防したいなら、雇用側がこの現実を正確に理解する必要があります。採用者が退職したいと思う本当の理由を知ってこそ、対策ができるからです。

一般に、退職を希望している人は辞める本当の理由を上司には言いにくいものです。だからこそ、離職対策が本当の意味で行われていないとも言えます。表面上の理由だけでなく、深層に潜んでいる『本当の理由』を知りましょう。

早期退職の原因は、大きく二つの理由があると考えられます。

一つ目は、入社前と後での仕事に対するギャップです。給与や待遇面は「話が違う」と不満を持つことがトップですが、もっと問題だと考えるのは「仕事内容とのギャップ」です。

求められていることが違う、やりたい仕事ができないといった不満は、給与や待遇面での不満より離職を考える最大の理由のようです。

二つ目は、本人と職場環境とのミスマッチです。職場に馴染めない、上司や先輩、同僚などと人間関係がうまくいかないというのは、やはり離職を考える大きな原因となります。

これらの退職理由を考慮しながら、求人の仕方や選考の仕方を工夫する必要があります。その方法を考えていきましょう。

ギャップを感じさせない求人票とは?

退職イメージ

求職者が入社後にギャップを感じてしまうのはどうしてでしょうか?入社前に求人票や面接などで感じたことと、実際の仕事や職場環境に対して違いを感じてしまうのです。

つまり、早期退職を防ぐためには、まず求人募集をする段階から対策をする必要があります。ギャップを最小限にする求人票の書き方とは、どのようなものでしょうか?

求人の募集背景まで明確にする

まずは自社の状況を正確に把握して、本当にその求人が必要かどうかから考えていきます。まずは現場での課題や採用したい理由を書き出してみましょう。

さらには、募集をかける人材に、どのようなポジションを与え、どのような仕事をしてもらいたいのか正確に書き出していきます。

これらを考えながら、自社内に採用基準を設定しましょう。

このように募集背景までしっかり吟味することで、求人票の採用要件にどのようなことを書けばいいかが見えてくるのです。

ターゲットにリアルなメッセージを伝える

意思疎通イメージ

採用者にギャップを感じさせないためには、求職者に正直に情報を与えることです。特に給与面や待遇面でのギャップは「話が違う」となりやすいので、わかりやすく、ごまかしのない表記をしてください。

そして、現場のニーズをそのまま求人票で伝えないことです。前述したように、現場のニーズは現場の課題でもありますから、それをそのまま採用要件に当てはめても求職者にはピンときません。

実際の現場のニーズを求職者に求めるのではなく、課題や採用の理由を明確にした上で、どのような人物が欲しいのかという、リアルなメッセージを伝えてください。

自社で働く魅力を伝える

求人票で伝えやすく、かつ効果的なのは、どのような社風か、実際にどのような人が働いているかを見せることです。

ただ詳しく書けば良いというものではなく、ポイントを押さえることが大切です。

  • 仕事内容の何に価値があるのか
  • どのような人に対してどのような価値があるのか
  • 将来どのような人材に育って欲しいか
  • そのために自社にどのような魅力があるか

といった内容を、自社の魅力として伝えていきましょう。

給与面や待遇面は変更できない部分も多いですが、仕事へのやりがいは十分に訴求することができます。

注意すべき点としては、自社の弱点も正直に明かすことです。完璧を目指さず、しかしそれを補うほどの魅力があることを伝えることが大切です。

面接でもギャップを感じさせない方法

面談イメージ

採用者への「この会社に入ろうと決めた理由は何ですか?」というアンケートを取ると、「面接での対応」と答える人は8割もいます。それほど、求職者は面接でのやり取りや、面接官への印象で入社の意思を決めているのです。

反対に、面接で対応が悪いと感じると、入社後の早期退職率が高くなります。

しかしながら、面接の対応が悪いと感じても実際に入社する人は少なくありません。それなのに、せっかく入社しても早期退職する理由は何でしょうか?

それは、やはりギャップにあると言えます。面接官の印象のギャップではなく、面接で説明された仕事内容と実際の仕事内容とのギャップなのです。面接官は直属の上司でないこともあるため、面接での印象が悪くても入社に至る人が多く存在する理由はここにもありそうです。

面接での対応よりも、仕事内容のギャップが大問題であるため、どのように面接をすれば良いのか分析してみましょう。

相互理解を図る

面接は『複数の面接官:求職者』という図式となり、一方的に面接官が質問して、求職者はそれに答えるということが多くなります。

求職者は緊張もしているので、疑問点があっても説明通りに受け取ってしまうのです。求職者が抱いている自社に対しての夢や幻想を、面接で現実に近づけることが、入社後の早期退職を避ける大きな役割となります。

とはいえ、厳しい面ばかり言うと求職者は引いてしまいますので、求職者が過剰な期待を持っていないか、大きな不安を感じていないかといった、お互いの認識のズレを探っていきましょう。

具体的な有効な質問としては、「弊社に対して、今どのようなイメージを持っていらっしゃいますか?」といったものです。このような質問で、求職者が入社した時、どのようなギャップを感じてしまうか予測することができます。

ギャップがあるようなら、夢や幻想を打ち砕かないよう注意しながらも、大変な側面もあることを伝えましょう。その上で、求職者が求めるような未来があるという、希望は与えてください。

お互いに夢と現実の理解をすることで、入社後のギャップを少なくすることができるようになります。

面接以外での自社情報の提供

会話する女性たち

相互理解を図るといっても、何度も面接を重ねるのは両者にとっても負担です。そこで、説明会や在籍者による質疑応答などを行うのがおすすめです。

説明会では、表面だけの説明ではなく、自社の問題点や課題も具体的に挙げましょう。それに対して、どのように取り組んでいるのか、どのような解決策をとっているのかを詳しく説明します。

これによって、入社前に持っているイメージとのギャップが軽減されると考えられます。

また、在籍中のスタッフによる質疑応答では、面接官より具体的な現場の話を聞きやすいという利点があります。「厳しい仕事だけれど、この会社で働くことでこのようなメリットがある」ということを、実際に働く人に聞くことで、説得力が増し、入社後のギャップも少なくすることができるでしょう。面接官よりも質問しやすいことは、言うまでもありません。

まとめ

早期退職を防ぐには、その真実の理由を探り、そこに焦点を合わせた対策が必要です。求人票や選考でピントがずれないよう、求職者と自社とのギャップを埋めるような努力をしましょう。

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